相続した親の住まいは、売却と賃貸のどちらがよいか?
売却か賃貸か、ライフプラン表をつくって検討しよう
相続で取得した親の住まいを今後どうするか、なかなか決められず悩んでいる人が少なくありません。
自分が住まない場合、賃貸に出すか売却するか、選択肢は二つしかありません。
決められないまま何年も空き家のままになると、家は傷んでしまいます。そんな状況を打開したくて、賃貸に出してしまう人も少なくないようです。
賃貸に出せば賃料は入りますが、賃借人の家の使い方が気になったり、維持のするための費用が意外にかさんだりするため、気苦労も増えがちです。
●人生の節目を視野に入れて考える
そこでおすすめしたいのが、売却と賃貸のどちらかを選択する前にライフプラン表をつくってみることです。今後の人生の節目を視野に入れながら、後悔のない選択をしたいものです。
5年後、10年後の暮らしをイメージしてみる
ライフプラン表とは人生の設計図です。つくってみると5年後、10年後の暮らしをイメージすることができ、将来の自分や家族の姿がより具体的に見えてきます。すると、そこから逆算して今の時点で何をどう決めて、どう実行しておけばよいのかを整理することができます。
●ライフプラン表に、家族それぞれのイベントイを記入
ライフプラン表は、横軸に西暦と自分や家族の年齢を書き入れます。
基本的なイメージとしては、子どもの学齢期や自分の退職時期など、主な人生の節目やイベントを記入していきます。
自分や家族のイベントを記入したら、次は懸案事項として物件の今後の計画を書き入れていきましょう。
賃貸に出すなら、メンテナンス計画も一緒に立てる
たとえば、賃貸に出すという計画を想定して、ライフプラン表に予定を書き込んでみます。
賃貸に出しても屋根や外壁のメンテナンスは必要です。それは、いつ頃に行わなくてはならないでしょうか? 設備器機の入れ替え、買い換えも定期的に必要になります。それぞれ、およその時期を記入していきます。
そして、そもそもいつまで賃貸物件として活用できそうか、見込みをつけておきましょう。
いずれ自分が住むつもりなら、その時期を明確にする
自分がいずれ住むかもしれないと、漠然と考えている人も少なくありません。
ライフプラン表で、自分が住むならその時期はいつなのか、仮に特定してみましょう。そのとき家族はどういう状態になっているでしょうか。
●「定期借家」契約なら、期間を決めて貸すことができる
自分が住むまでの期間を賃貸に出すなら、定期借家契約で貸すのがおすすめです。普通借家契約だと、借りている人に住む権利があるため、住み続けたいと思った場合は退去してもらうのが容易ではありません。
定期借家の契約なら、期間を決めて貸すことができるので、契約期間が満了すると同時に賃貸人に家を明け渡してもらうことができます。
「とりあえず賃貸」より、売却が望ましい
賃貸に出しているあいだに、年数とともに売却価格は下がっていきます。売却するより、「とりあえず賃貸に出す」ほうが有利という明確な考えや理由がないなら、売却することを考えたほうがよいと言えます。
なぜなら、賃貸に出したのちに売却する必要が出た場合、こちらの都合で賃貸人に出てもらうことは困難だからです。
賃貸人がいるまま売却するとなると不動産業者にしか売却できず、売却価格はかなり下がると覚悟しておかなければなりません。
ライフプラン表で5年後、10年後、15年後と将来の家族の変化を見ていくと、賃貸か売却かという問題だけでなく、将来の夢や人生設計も描きやすくなります。ぜひつくってみてはいかがでしょうか。