共有名義の住宅を売るときの注意点
共有名義の住宅売却は、名義人全員の同意が必要
売却する予定の住宅が共有名義になっている場合、共有している者全員が同意していなければ売却することはできません。
共有名義の住宅とは、ひとつの住宅を複数の人の名義で所有されている状態です。親子や夫婦で共有名義になっている住宅や、相続をきっかけに兄弟姉妹でひとつの住宅を共有している住宅を購入するケースはよくあることです。
共有名義の住宅を売却するには全員が同意した上で、以下の手続きが必要になることを知っておきましょう。
◇共有名義の住宅売却で必要な手続き
・契約書への共有者全員の実印による捺印 および印鑑証明
・契約書への全員の直筆サイン
・契約時・決済時の全員の立会い
●一人でも反対者がいると、売却できない
共有名義の住宅を売る場合、名義人全員がこれらの契約や決済時の手続きに全同意し、集合し立会いをしなければなりません。共有者のだれか一人でも売却に反対する人がいれば、売却は困難になります。
厳密にいえば、たとえば兄と弟の2人で住宅を共有している場合、兄の持ち分だけ市場で売るということは可能です。しかし、そのような住宅を購入する人はまずいませんので、売却は困難と考えるべきでしょう。
●行方不明者や認知症の人がいると売却できない
共有名義人のうちに、一人でも行方不明や連絡がとれない人がいる場合も売却は不可能となります。
また、共有者が認知症などによって意志が確認できない人がいるケースも売却できません。
「持ち分」を売却し、解決することもできる
兄弟姉妹などで共有名義人の一人が売却に同意しない場合、売却したい人が売却反対の人に、持ち分を売却することで解決をはかる場合があります。
つまり兄弟姉妹に買い取ってもらうということになりますが、その場合、売却益が出ると課税の対象になることがあります。
●相続では、単独名義にするのがおすすめ
相続の場合などは、兄弟姉妹間でとりあえず共有にしておくといったことが行われますが、後々のことを考えれば、共有にはしないほうが得策です。
相続人のあいだで協議し、住宅は単独名義になるように遺産分割することをおすすめします。手続きも少なく、税金面でも有利になることが多いです。
夫婦共有名義の住宅を売るなら、離婚前がおすすめ
夫婦の共有名義になっている住宅を、離婚を機に売却しようとする場合はも注意が必要です。
離婚後であっても双方が同意していれば売却することはできます。しかし、離婚すると相手と連絡がとれなくなり、同意を得ることがむずかしくなるケースが少なくありません。
したがって、夫婦共有名義の住宅を売却は、離婚手続きが完了する前に行うことをおすすめします。