「空き家となった親の家」、維持コストはいくら?
これからも増え続ける空き家
相続された家がそのまま空き家になる
全国で空き家が増加しています。国土交通省の平成26年の調査によれば、820万戸の空き家が全国にあり、5年前に較べて63万戸増加しています。
「空き家実態調査」では、空き家になった経緯を調査しています。
それを見ると新しく住宅を建てたり、中古住宅を購入したりしたため、それまで住んでいた住宅をそのままにしているケースもありますが、全体の半分以上が「相続した」という経緯で空き家になっていると見られます。そして、住宅の建築年数が古いほど「相続した」の割合が多くなっています。
親が亡くなったのがきっかけで空き家になっている住宅は、少子化を背景に今後も増加していくと予想されています。
同調査では「今後5年程度のうちの利用意向」も調査しています。つまり、空き家を今後どうしますかという質問です。
それによると、「空き家にしておく」のが、「賃貸に出す」・「売却する」・「取り壊す」という方針より多く、3割となっています。
空き家が増える最大の理由は、固定資産税
空き家のままにしておく理由はいろいろあると思いますが、一番大きいのは固定資産税でしょう。
毎年1月1日に、所有する土地や家屋にかかってくる税金です。標準の課税率は固定資産税評価額の1.4%です。軽減措置があり、200㎡以下の部分については評価額の6分の1になっています。空き家でだれも住んでいなくても、家屋が残っていればこの軽減措置が適用されます。
しかし、2015年の税制改正により、危険な空き家とみなされ「特定空き家」に指定さると、軽減がはずされることになりました。つまり、固定資産税が6倍にアップするわけです。その他に都市計画税もかかってくる区域もあります。
空き家は何かと維持管理費用がかかる
空き家にかかる費用
空き家は、固定資産税の軽減措置を受けられる範囲であっても維持管理費がかかります。
水道や電気、ガスは使用量が少ない状態でも基本料金は固定額でかかります。水道料金は、自治体によって料金がだいぶ違っていますので一概には言えませんが、水道光熱費の基本料金の総額で3000円~5000円はかかるでしょう。
使用を止めていれば基本料金はかかりまませんが、電気もつかず、水洗トイレも使用できないことになります。そうすると、家の状態を見に行くにも不便となり、足が遠のきがちになるのではないでしょうか。
また、雨漏り、シロアリなどの被害も考えられます。早急に対応すれば、修繕費用は20万円程度で済みますが、そのまま放っておくと、数百万の修繕費用がかかるリスクがあります。
空き家に行く交通費もバカにならない
空き家になった住宅は、湿気がこもりやすく傷みも早くなりがちです。傷みを送らせるには定期的に窓を開け放し、空気の入れ換えが必要です。
しかし、遠方にある住宅だと交通費がバカになりません。車で行ける距離ならガソリン代だけですみますが、1回行くのにどれだけガソリンを消費するのか、走行距離などから費用を割り出してみると結構な費用になっていることもあります。
一度、年間の維持管理費や将来必要になりそうな費用の合計を出してみましょう。思っているより多くかかっていることに驚くのではないでしょうか。
また、近隣の人たちは空き家に対して環境面、防犯面で不安をもっているものです。長期間、自分で見に行くことができない場合は、「近隣に迷惑をかけていないか」など精神的にも負担をかかえていまいます。
将来、住宅として活用する見込みがないなら、売却する、あるいは賃貸に出すなど、早めに方針を決めることも大切です。