収益還元法、原価法、取引事例比較法とは?不動産評価のしくみ
不動産価格の主な算出方法は3つ
不動産の価格を算出するには、①収益還元法、②原価法、③取引事例比較法の3つの方法があります。これらの違いをおおまかに理解しておきましょう。
●「収益還元法」・・賃料をベースに割り出す
不動産を個人や企業に貸すと賃料を受け取ります。その賃料から不動産の価格を割り出すのが「収益還元法」です。単純な数字に置き換えてみてみましょう。たとえば、家賃月額10万円で賃貸に出すことができる不動産の場合、5パーセントの投資利回りを求めたいのなら、価格は2400万円(10万円×12カ月÷5パーセント)となります。
実際には、住宅の維持費や売却した場合の価値を差し引いて考えなければなりませんが、考え方のベースは賃料です。主に投資用の住宅の妥当な価格を算出するときに使われる方法です。
●「原価法」・・建て直した場合の費用を算出する
「原価法」はまず、対象となる不動産を土地の取得も含めて、もう一度建てるといくらかかるかという考え方で価格(再調達原価)を算出します。その価格から、建築後の経過年数に応じた価値の低下分を差し引いて(減価修正)、現在の価格を割り出します。
また、建物の価値は築年数が経つにつれて減少しますが、リフォームによって価値は上がります。こうした点も考慮して、現在の不動産の価格を算出するのが「原価法」です。
しかし、現状では、中古住宅の建物価格は、ひとつひとつの住宅の価値に合わせて算出されるのではなく、築10年なら新築の半分、築20年を超えると価値はゼロなどというように、おおまかに割り引いて算出されています。
●「取引事例比較法」・・周辺相場から算出する
中古住宅の売買で、実際に多く取り入れられているのが「取引事例比較法」です。
住宅価格の査定を依頼すると、不動産会社に築年数や建物の状態なども加味しますが、必ず参考にするのが売主の住宅と似た条件の物件の成約価格です。つまり、不動産会社は取引事例を調査し、最終的な査定価格を割り出します。
今後、維持管理やリフォームが評価される時代に
中古住宅に対する評価の考え方が少しずつ変化してきています。
建物の維持管理やリフォームで向上した価値を評価に加算しようとするものです。
賃料や、築年数で一律に評価されるより、個々の物件の質を評価していくことは、売主・買主双方にとってメリットは大きいでしょう。
将来、不動産の売却を考えている人はこうした流れを踏まえ、住宅の修繕をしっかり行う、その履歴を残すことが大切になります。