「買い替え特例」で「売・買」同時進行のリスクに備える
売買契約書に「買い替え特例」を入れておく
住宅を売却して新たな住宅を購入する「買い替え」では、売主のリスクを回避するために、売買契約書に「買い替え特約」を入れておくという方法があります。
住宅を売った代金を新しく購入する住宅の代金にあてたい場合、「売り」と「買い」が同時に進行できることが理想的です。それができれば、仮住まいやそれに伴う引っ越しの手間もかかりません。
しかし、現実的には「売り」と「買い」が成立するタイミングはズレが出ることが多く、先に買い替え住宅を購入することになった場合は、資金をどう工面するかが問題になります。
多くの場合、購入に必要な現金が手元にないため、売りを先行させるのが一般的です。売却できればその代金で、無理なく新しい住宅を購入できるからです。
しかし、売却が決まる前に、買いたい住宅が見つかることがあります。人気物件は買手がつきやすいため、すぐにでも購入したいところですが、売却できていないため資金がありません。そのため手付金を払って時間稼ぎをしても間に合わず、手付金を放棄することになるケースもあります。
「買い替え特例」とは、そうした事態を避けるために行う購入契約の方法です。文言は、次のようになります。
「○年○月○日までに、現在の住まいを○○○万円以上で売れなかった場合、この契約を解除する」
この「買い替え特例」を契約書に入れておくと、住宅が売却できなかった場合には、手付金を放棄することなく契約を白紙に戻すことができます。
「買い替え特例」の同意を得られるケースとは
ただし、売買契約書に「買い替え特例」を入れるには、買い替え住宅の売主の同意が必要だということを覚えておきましょう。 買い替え住宅の売主にとって、この特約を入れるメリットはほとんどありません。
契約が白紙に戻れば、またイチから買手を探さなければならず、その間の時間や手間が無駄になりますから、当然、特約をつけたくないケースのほうが多いわけです。しかし、「買い替え特例」に同意する売主がいないわけではありません。
買手がなかなか現れないケース、建築デザインが個性的で買手がつきにくいケースなどは、同意が得られることが少なくないかもしれません。「買い替え特例」をつけたいと考えるなら、仲介の不動産会社に相談し、可能かどうか売主と調整をとってもらいましょう。