投資用物件の価格が「入居者の有無」で変わる理由
近年、老後資金対策として不動産投資を始める若い人が増えています。
しかし、なかには「現金が必要になった」「もっと条件の良い物件に買い替えたい」「賃貸経営が負担になった」など様々な理由により物件を売却する人もいます。
投資用物件を売却する場合、入居者がいる・いないによって価格に影響することがあります。
入居者がいない物件は、一般の住宅と同じ!?
投資用物件の売却というと、入居者がいる状態で売却する「オーナーチェンジ」が主流です。
しかし、次の入居者がなかなか決まらない場合などは、空室の状態で売却するケースもあります。
同じ物件であっても、「オーナーチェンジ」では「投資用物件」として取引されますが、空室の場合は、マイホームなどと同じ「居住用物件」として取引されることになります。
売却に際して知っておきたいのは、「投資用物件」と「居住用物件」では、価格の査定方法が異なるという点です。
●「投資用物件」の査定方法
「投資用物件」の査定は、「収益還元法」という方法で行われます。
簡単に言うと、「この物件が将来どのくらい収益を生むのか」という観点から査定する方法です。
査定の根拠となるのは、「収益価格」(その物件が将来生み出すと予測される純利益と現在の価値を総合した評価額)です。
「収益価格」は、年間の家賃収入と利回り(利益率)をもとに計算されます。
(例)年間家賃収入120万円、利回り5%の物件の場合
収益価格は、120万円÷5%=2400万円 となります。
同じエリア内にある一見似ている物件でも、設備やメンテナンスの充実度によって家賃額が異なることがあります。
一般に、家賃が高い物件は収益力が高いため、査定価格も高くなる傾向があります。
●「居住用物件」の査定方法
一方、入居者がいない空室物件の査定は「取引事例比較法」で行われます。
これは簡単に言うと、過去の取引事例のなかから、近隣の「売却したい物件と似た条件の事例」をいくつか選び、比較検討して価格を算出する方法です。
価格を左右する主な条件は、間取り、築年数、デザイン、設備、周辺環境や立地などです。
マイホームの査定で用いられる方法なので、当然ながら物件の収益力は全く考慮されません。
高く売るための対策
投資用物件の最大のアピールポイントは、収益力の高さです。
満室なら買主は入居者募集をする必要がなく、購入直後から安定した家賃収入を得られるメリットがあります。
売り出し前に空室が出た時は、満室にしてから売却するのが望ましいといえます。
フリーレントや成約者へのプレゼントなど、さまざまなサービスで空室打開に努めましょう。
満室にするために家賃額を下げて募集するという方法もありますが、これはお勧めできません。
入居者は決まるかもしれませんが、肝心の収益力が下がってしまうからです。
●居住用物件として売り出す方法も
賃貸していた区分所有のマンションや戸建て住宅が空室になってしまった場合は、入居者募集をせず、空室のまま居住用物件として売却するという選択肢もあります。
物件の条件によっては、そのほうが高く早く売却できる可能性もあります。
状況にお応じて、より良い選択をしましょう。