住宅ローン控除の面積要件が緩和!売主に追い風!
長い間、登記簿面積50㎡未満のコンパクトな住宅は売却しにくいと言われてきました。
しかし、今後は大きく変わるかもしれません。
その理由は、2020年12月10日に公表された「2021年度税制改正大綱」にあります。
これまで売主の前に大きく立ちはだかっていた「50㎡のハードル」が解消されることになりました。
「登記簿面積40㎡以上」なら住宅ローン控除の対象に!
税制改正大綱とは、翌年以降の税制改正の方針をまとめたもので、毎年12月半ばに与党から発表されます。
この大綱をもとに法案が作成され、年明け2月からの国会審議を経て、3月に成立、4月に施行されます。
2021年度の大綱に、住宅ローン控除の面積要件が緩和されることが盛り込まれました。
これまで、登記簿面積が「50㎡以上」でないと住宅ローン控除の対象にならなかったのですが、今回の改正で「40㎡以上」に緩和されたのです。
●要件緩和の背景は?
住宅ローン控除の制度ができたのは、1970年代にさかのぼります。
当時、多くの人にとってマイホームの購入は人生の大きな夢でした。
独身時代は一間のアパート、結婚後は賃貸マンション、子供が生まれてしばらくすると持ち家を購入、といったコースが一般的でした。
そのため、住宅ローン控除も家族3~4人が住む3LDK程度の住まいが想定されていました。
しかし、時代とともにシングルやDINKS世帯が増加し、コンパクトな住まいの需要が高まってきました。
今回の改正は、このような世帯の多様化に対応したものと言えます。
40㎡ギリギリのマンションは要注意!
一つ、注意したいことがあります。
マンションの場合、登記簿面積が内法面積だという点です。
内法面積とは、壁の内側の床面積のことです。
しかし、マンションの広告やパンフレットには、壁芯面積が記載されているケースがほとんどです。
壁芯面積の場合、壁の厚みの中心(厚さ10センチの壁なら5センチのところ)から床面積を測定します。
そのため、壁芯面積の数値は内法面積(登記簿面積)より大きくなります。
つまり、広告に記載されている面積が40㎡ギリギリのマンションは、登記簿面積が40㎡未満になり、住宅ローン控除の対象外となる可能性があります。
住宅ローン控除の対象になるか否かは、売却戦略にも大きく影響を及ぼしますので、早めに登記簿面積を確認しておきましょう。
なお、戸建ての場合は広告にも登記簿面積が記載されているため、マンションのような心配はいりません。
売主には追い風!
これまで、50㎡未満の住宅は住宅ローン控除が適用されないため、買主から敬遠される傾向にありました。
シングル世帯であっても、住宅ローン控除を利用できる50㎡以上のマンションを購入するケースが大半でした。
したがって、50㎡未満の住宅の売却はターゲットを現金購入者に絞る、価格を下げる、投資物件として売却するなどの方法を選択することが少なくありませんでした。
しかし、今回の改正によってシングルやDINKSからの注目度は大きくアップすることが予想されます。
住宅ローン控除の適用物件となれば資産価値が向上し、より好条件で売却できる可能性が高まります。
今後、40㎡以上の新築住宅が増え、競争が激しくなるかもしれません。
状況をよく見て売却の時期を決めましょう。